登山の知識&ヒヤリハット
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ヒヤリハットで疑似体験

3101mの山頂よりスキー滑走中に転倒し滑落、左足前十字靭帯を断裂し長野県警ヘリによって救助されました。

2017年2月23日印刷
発生日 2009年05月02日
体験者名 2016年Y169
登山地域 北アルプス 大喰岳 南東斜面
登山概要

■パーティ人数:1
■山行スタイル:個人山行
■宿泊:山小屋泊
■登山内容:縦走
■天気:晴天

ヒヤリハットタイプ

■対応(解決種別):[救助要請(警察・消防) ]
■場所:[下り/斜面]
■原因(人):[山岳スキー/薄いアイスバーンとその下のバランスを崩した/m以上のパウダーにより、とらえどころのない雪面となっていたため、体の回転を止めることが出来なかった。結局、スキー板のトップが斜面に深く刺さり、流れ止めの紐によって逆さ宙吊り状態となり停止した。]
■原因(コース/環境):[雪・氷/サンクラストした斜面を割って左側面からアイスバーンに激突]
■怪我の程度:[重症(行動不可)/前十字靭帯が断裂]
■怪我の部位:[左膝]
■滑落した瞬間の対応:[行ったが効果がなかった/体の回転を止めようと手足を伸ばした]
■滑落距離:[50m]

ヒヤリハット本文

山頂3101mから約40度の南東斜面をスキーにて50mほど滑走したところ、サンクラストした斜面を割って左側面からアイスバーンに激突し、その衝撃により意識不明となり滑落してしまった。 左足とスキー板が接触した時の痛みによって意識不明から回復するも、体が回転しながら滑落していた。ストックも両方共にすっぽ抜けて失っていた。体の回転を止めようと手足を伸ばしたが、薄いアイスバーンとその下の1m以上のパウダーにより、とらえどころのない雪面となっていたため、体の回転を止めることが出来なかった。結局、スキー板のトップが斜面に深く刺さり、流れ止めの紐によって逆さ宙吊り状態となり停止した。 自力下山しようとするも耐え難い激痛が左膝全体に走り、自力下山を断念し長野県警に山岳救助要請を通りがかった山スキーヤ-にしていただきました。後日、MRI検査により前十字靭帯が断裂していることが判明した。

要因分析
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
装備
コース
槍ヶ岳小屋にて雑誌に大喰岳 南東斜面の滑走記録がある記事を読み、槍沢を滑る予定を大喰岳 南東斜面のスキー滑走に変更してしまった。
山の状況
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
スキー板を担いで登っている時は硬いアイスバーンであり、その先入観から南東側の雪面の状態の観察を怠り、サンクラストしたアイスバーンが割れることを予測しなかった。 サンクラストしたアイスバーンはスピードコントロールが難しく、50mほど滑降しただけで足が緊張により疲れて来たせいか旋回の後半に強いエッジング操作が残ってしまいアイスバーンを割って、直後アイスバーンに乗り上げるように激突した。 アイスバーンも下るにつれて厚さが薄くなり割れやすくなっていたと思われます。
対策

スキー滑走技術の向上、特に片足で滑るより両足をそろえて滑る方が安全と理解できた。その結果、スキーテクニックの向上と下半身の強化に努めるようになった。 スキーの流れ止めにより、左膝内側靭帯がスキー板と接触し損傷したが、滑落停止したのもスキーの流れ止めが原因であり、流れ止めには一長一短がある。

学びの場

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