登山の知識&ヒヤリハット
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ヒヤリハットで疑似体験

部員の一人が下山中にスリップ転倒で左足全体にかなりのダメージで行動不能に近かったが,何とか下山できた

2018年1月18日印刷
発生日 2014年08月22日
体験者名 2017年Y042
登山地域 焼岳
登山概要

■パーティ人数:5人以上
■山行スタイル:クラブの山行
■宿泊:テント泊
■登山内容:山頂往復
■天気:晴れのち曇り,夕方からにわか雨

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■登山計画時にそのリスクに対する検討を行ったか:した
■行動中にリスク回避や軽減が行えたか:した

ヒヤリハット本文

どうしても山に行きたくて,普段から山のトレーニングをしていると嘘をついたことが第一の原因である.登りで1時間遅れたのは仕方ないとして,下山では完全に体力が無くなり,何でもない下りの小砂利の道でスリップした.既に体力は無かったので,そのまま防御も取らず,数メートル登山道を足を曲げながら,滑っていった.もう一つの原因は体力がなくなったので,ストックに全体重をかけながら下ったことにある.それによってストックが折れて上述の事故が起きた.歩けるようになるまで1時間近くかかった.自力下山したがキャンプ場から山頂往復で12時間強かかった.6人グループで行ったので,他の部員はどうすることもできず,立ち尽くすだけであった.あまりにも下山に時間がかかりすぎ,水と食料も尽き果て,かなり陰悪雰囲気になっってしまった.翌日,晴天にもかかわらず乗鞍岳の登頂は即中止にした.

要因分析
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
計画は部員全員で意見交換しながら無理なく立て,更に前講習を行い,目指す山岳域の情報を徹底的に各自に叩き込んだ.更に口頭であるが,トレーニング指導も行っていた.事故を起こした学生は事前講習に参加しなかった.
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
登山靴や荷物のチェックを行った.問題を起こした学生は事情により1日遅れで参加することを伝えてきた.合流した時にはトレーニング不足を感じ取ることができなかった.
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
山頂まではいつもの感じであったが,山頂から下山に入った時,すぐ異変を感じ取ることができた.天候の雲行きが怪しくなってきたが,急がせることはしなかった.この状況ではどうすることもできず,本人が自分の意思で下山するしかなかった.山行の途中で顧問が部員に何らかの異変を感じ取ったら,すぐに撤退の判断をすることを部員に伝えていた.しかし,本人はそれ嫌でかなり無理をして登頂したと思う.
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
対策

普段から学生一人一人の様子を観察するようになった.少しでも甘い計画ならば,登山そのものを中止するようになった.現地に行ってしまったら,実行するしかないので.事前講習に参加しない学生は山に連れて行かない.それ以後,今のところ問題は起きていない.参考までに平成28年度の春遠征,29年度の秋遠征は登山計画が不完全であったため,顧問判断で中止にした.過去に1度同じ状況があったが,怪我をする前だったこと,山小屋が近くにあったこと,と幸運が重なり,残り2泊の山行を残していたが,翌日即下山することができた.山小屋では遭難事故として扱われ,山岳警備員に事情徴収をされた.本音を言うと嘘をつかれたら,どうしようもなく,嘘をなかなか見抜くことはできない.その嘘は山中で最悪な状況で大きな障害になる.山では登頂後の下りが重要ということが,身をもって経験できた.各自が登りたい山と,登れる山はしっかりと区別し,登山実行の際,顧問が判断しなくてはいけないことを悟った. 可能な限り,山岳遭難対策に関する講習会や研修会に参加しており,12月10,11日行われる研修会にも参加します.

学びの場

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20181010 2018年9月18日印刷
STEP2 省察
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
携帯する水・食料の分量
コース
エスケープルートを考えていたか。時間のリミットを考えていたか。
山の状況
装備
コース
山の状況
天候を調べていない。
装備
コース
山の状況
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
事前講習に参加していない学生意を連れて行く。隊員の体力を把握していない。
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
トレーニングをしていると嘘をついており、講習に参加していない、1日遅れで参加する者を山に連れていけるという慢心。
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
メンバーシップが足りていない。
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
部員の体調を確認していない。バテないような登りのペース配分ができてたか。他の部員のリスクマネジメントができていない。
リスク低減行動の継続的実践
その他
STEP3 概念化

■類似した自分の登山経験

■どのように対応すべきと考えたか

■今回の分析で獲得した知識や技術

■今回の分析で得た(気づいた)発想

STEP4 専門家との意見交換や登山での実践を行った結果

STEP2とSTEP3の内容の振り返り結果

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