登山の知識&ヒヤリハット
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ヒヤリハットで疑似体験

自衛隊トレラン訓練中の過呼吸からの低体温

2018年1月18日印刷
発生日 2016年6月
体験者名 2017年Y065
登山地域 十勝岳
登山概要

■パーティ人数:1人
■山行スタイル:個人山行
■宿泊:日帰り
■登山内容:山頂往復
■天気:曇り後雨

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■登山計画時にそのリスクに対する検討を行ったか:した
■行動中にリスク回避や軽減が行えたか:どちらともいえない

ヒヤリハット本文

自衛隊10名程度がトレラン訓練を行っており、最後尾の人(以下、要救助者と記載する。)が山頂到着時に過呼吸状態になり独歩不能状態となる。この時すでに山頂付近は気温一桁で猛烈な雨と風でした。要救助者はトレイルランのためTシャツ短パンで雨と汗でずぶ濡れの状態で、強風で体温の低下が激しく、数分で手足を震わせる症状も発症した。このままでは低体温症になる可能性があると判断し、要救助者を背負い搬送をすることを決断しました。要救助者は体重60キロ程度で長時間の搬送は時間を要すると思い、登山口とは逆方向の十勝岳避難小屋で一時的に避難することを決断しました。その時、最後尾から2番目の自衛隊員(以下、協力者と記載する。)が要救助者が来ないことを心配して戻って来ました。要救助者の容態を説明し、避難小屋に一時的に避難することを説明し、協力して搬送することになりました。訓練隊長に現在の状況を伝えるために、携帯電話で状況を伝え、避難小屋に避難する旨の了承を得た。搬送時間は30分程度で、避難小屋に到着した。この時の要救助者は、全身を 震わせている状況で、意識は朦朧で正確な会話をすることができない状態でした。速やかに濡れた衣類を脱がせ、自分の予備衣類を着衣させて、レスキューシート数枚と避難小屋常備の毛布で包みました。さらにガスバーナーを使用して、室内の加温及びお湯を作り、チョコレートを溶かしカロリーの摂取を図りました。さらにお湯を使用してジップロックで湯たんぽを作り、要救助者の脇下と首周りの加温を行い様子を見ることにしました。避難小屋に到着してから1時間半後、訓練隊長1人が避難小屋に到着しました。この時の要救助者の容態は改善してきていました。全身の震えは治り、会話も正常に出来る状態でした。訓練隊長さんは、他の隊員はトレランで再度登り返すことができず、1人で来たとのことでした。しかし、要救助者の更なる防寒の着替えは携行しておらず、非常に残念でした。到着して2時間がたち(夕方4時)、隊員さんと協議し天候の回復の見込めないため、また、要救助者の容態が改善し歩く事が可能であったため、介添え歩行にて下山することになりました。可能な限り要救助者の体温低下を防ぐため、ザック内の100円合羽を着させました。下山は3時間程度かかりましたが、要救助者は自力で歩く事ができたため、無事に現在することができました。

要因分析
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
職業柄(消防救助隊)、常に何が起きても対応する心構えがあったこと
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
対策

自分のみではなく、他の登山者が行動不能になることもあるため、備えは必要だと改めて実感しました。 今回はたまたまかもしれないが、自分が職業柄、低体温に対する処置、搬送方法及び体力があったことで、要救助者を助けることができたと思います、一般人であればこの要救助者は死んでいたかもしれません。 自衛隊の訓練体制の安全管理が不十分だと感じました。

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