登山の知識&ヒヤリハット
登山者の主体的な学びを支援する学習サイト by 日大工学部 嶌田研究室

登山の知識&ヒヤリハット

ヒヤリハット記事 検索条件設定/確認

ヒヤリハットで疑似体験

登山道の無い山での人為落石事故

2017年7月11日印刷
発生日 2015年11月22日
体験者名 2016年Y629
登山地域 兵庫県浜坂付近 牛が峰山~海上
登山概要

■パーティ人数:6
■山行スタイル:山岳会やサークル、クラブの山行
■宿泊:日帰り
■登山内容:縦走
■天気:晴れ/曇り

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■落石の数:数個
■けが人:本人
■怪我の程度:重症(行動可)
■怪我の部位:脚部
■石の大きさ:拳程度
■落石の原因:人為的
■落石が発生した瞬間の対応:接触
■リスク軽減装備:ヘルメット(無)

ヒヤリハット本文

会の50周年記念事業という事で、兵庫県縦断トレイル(浜坂~姫路)が計画され、その第一回に参加した。1日目は浜坂の海岸からスタートしてカニ料理の民宿に泊まり、2日目は長丁場を歩いて海上集落で予約のタクシーに乗ってJR浜坂から阪神方面へ帰宅の予定だった。 牛が峰山迄は順調に進んだが牛が峰山以降踏み跡は無く、下る尾根を間違えて修正した為タイムロスが発生。会の熟練者がルートファインディングに先行し少々険しい所を進んで行ったが、一か所5~6mの崖を下る事になり、順番に一人ずつ垂れていた蔦を掴んで後ろ向きに降りた。 私が降りる時、次の人間に「私が降りる迄待つ様に。」と念をおしたが、まだ崖の途中にいた時に、上から漬物石位の石が落ちてきて、右足の脛を直撃した。あまりの痛さに動けなかったが、まだ上から小石がパラパラと落ちてくるので、必死になって下まで降り浅い沢を渡って崖から離れた。 痛みが激しく動けない状態でいたが、登山パンツが血に染まっていると他の人に言われ、登山パンツとスポーツタイツをめくると、10cm程の長さでパックリと深い傷口が開いていて血が溢れ出てきていた。パニックになりかけたが、元養護教諭の人が落ち着いて包帯と伸縮包帯で傷口をきっちり巻いてくれたので、上からスポーツタイツをかぶせた。別の人が痛み止めの薬(ロキソニン)を飲ませてくれた。 歩けるかどうか不安だったが、立ち上がって歩く事ができた。荷物は持ってもらい、ストックを一本つきながら、沢伝いに1時間以上歩いて尾根に上がり、急な所を下ってやっと海上の集落に出たが夕方で薄暗くなりかけていた。救急車を呼んでもらい、集落の人が場所の説明をしてくれた。救急車が着いた時はもう真っ暗だった。鳥取の赤十字病院へ行く事になり、そこで10針程縫ってもらったが骨が見えていたとの事。医師にヘルメットを被っていたかと聞かれ、被っていなかったと答えると、「頭に当たってたら死んでましたよ。」ときつく怒られた。 当日鳥取駅から帰宅し、その後神戸の病院に1月中旬まで6回通院した。

要因分析
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
コース
リーダーはコースをかなり簡単だと考えていた様に思う。
山の状況
装備
コース
山の状況
装備
コース
一日目もかなり暗くなってから崖を林道に下りた。林道も結構長く、民宿に着いた時は真っ暗だった。 一日目の途中で女性3人程がリタイア。2日目の参加を取りやめた人も何人かいた模様。
山の状況
事故の起きた崖の下にリーダーがいたが、特に指示も何もなかった。私が降りる時上から見たら、リーダーは横を向いて人と話をしていた。 落石を起こした人間は、一切無言だった。誰も「らくー」とも何も言わなかった。
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
リーダーは下見無しで、地図上で計画。少し藪漕ぎはあるが、大したコースではないと明言。私はヘルメットの事を確認したが、必要ないとの返事。 記念行事だしカニの民宿に泊まるからと、沢山の人の参加を呼び掛けていた。
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
バリエーションの経験の無い一般ハイカーレベルの人が結構参加していたが、私はそんなに大勢の人が参加するのを知らなかった。
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
バリエーションの経験の無い一般ハイカーレベルの人には、かなり厳しそうだった。 とにかく人数が多いので、こんなコースを多人数で行くのはおかしいと感じた。
対策

1)信頼できないリーダー/メンバーとは行かない。 2)バリエーションルートへは時々行くが、万一何かあっても救助の要請が難しい辺鄙な低山で人が殆ど行かないマイナーな所へは行かない。 3)会の例会山行は、事前申し込みのもあるが、当日誰でもOKでどんな人が何人参加するかも分からないのもある。事前にどんなメンバーか分からない場合は参加しない。

学びの場

ヒヤリハット体験への学習レポートを書き込んだり、学習レポートへコメントをつけたりしてみんなで対策を考えましょう。
※学習レポートの書き込み及びレポートへのコメントの投稿はログインユーザのみ利用可能です。

新しい学習レポートを書き込む
(ログインユーザのみ利用できます)