登山の知識&ヒヤリハット
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ヒヤリハットで疑似体験

普賢岳から三国岳間での滑落事故

2017年2月23日印刷
発生日 2007年11月25日
体験者名 2016年Y217
登山地域 奈良県・大峰山系
登山概要

■パーティ人数:6人以上
■山行スタイル:山岳会やサークル、クラブの山行
■宿泊:テント泊
■登山内容:縦走
■天気:晴れ

ヒヤリハットタイプ

■対応(解決種別):[救助要請(山小屋・他登山者)]
■場所:[不明/一般登山道]
■原因(人):[道具/前爪を根に引っ掛け]
■原因(コース/環境):[木]
■怪我の程度:[重症(行動不可)]
■怪我の部位:[不明]
■滑落した瞬間の対応:[行わなかった]
■滑落距離:[50m]

ヒヤリハット本文

うっすらと熊笹の上に降り積もった白い雪を掻き分けるように男の体は滑ってゆく。大柄な体は容赦なく雑木に打ち付けられてては跳ね返されている。ザーという擦過音の間にドン・ボクッというような鈍い打撲音に混じりバキッ、ボキッという枝の折れた音が混じって聞こえてくる。男の悲鳴は全く聞こえてこない。滑落の瞬間気絶したのだろうか? ・2007.11.25の朝 0530:和佐又キャンプ場起床。0650:2名をテンバに残し、6名パーティでスタート。0915:大普賢岳山頂到達  1025:国見岳直前で滑落。垂直距離:50m 45~50度傾斜:70m地点で停止。  5名での懸命の救助が始まる。 1340:奈良県消防隊ヘリに収容 1430:奈良県立医大高度救命センター に入院。 ・カナリの重傷ではあったが、意識はシッカリしておりメンバー3名が主に確保・連絡にあたったがアイゼンを履いていたことも皮肉ではあるが、早期の事故者への到達・確保・応急手当に役立った。 ・前日に降雪があり、大普賢岳頂上で12本爪アイゼンを装着笹の根が多く、ソロソロ脱ごうと思っているときに、最後尾のリーダー(事故者)が前爪を根に引っ掛け滑落したものである。 1.先ず、Kが無線でキャンプ場で待機中のOに連絡をとり、Oがキャンプ場管理棟に急行、電話で消防に救助要請をした。2.女性2名には、無線が届かぬ事態を考慮して同じ道を下山、連絡に走らせた。3.SとNは迅速に事故者のもとに急行し、個人装備として決められている、120cm/60cmのシュリンゲ・ カラビナを全員から集め自己ビレーをした上事故者のビレーをした。4.Kは、山行に常に【サラシ1反】を携行しており、稜線に上がりサラシを 広げ、先端を→ 状にし、ヘリへの目印とした。(これは後でヘリから良く視認できたとお褒めあり)5.テンバ待機組を入れ、8名は会での講習は全て終了し習熟のレベルであった。また、山行計画書の内容も【救助隊からの聴取事項】を網羅しており、連絡については、最短で効率よく伝えられた。  事故者は、47日入院・45日リハビリで、殆ど正常で復帰現在は、摩耶山友会 150名を率いる会長職を続行中である。

要因分析
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
コース
山の状況
前日に降雪あったが、予想事項で全員12本爪アイゼンは準備していた。
装備
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
山道は、80cm 幅程度の通常のものであるが、木の根・笹の根が縦横に張っており注意をしていたが、、、。
下りが終わり平地になったところで、アイゼンを外す指示を出そうとしていたときに、事故は起こった。
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
我々の力量からいって、問題となる山行ではなかった。全員での歩行トレーニングは1回実施。これは、参加者との意志疎通を重視。
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
山行の朝、体調不良のメンバーが1名出た。これをサポートするために1名ついた。 これが皮肉にも、B.C.での連絡係りとして機能した。
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
対策

この事故を歯止めする策は、困難である。 会としては、救命救急により力をいれ、講習の頻度を増やしている。

学びの場

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