登山の知識&ヒヤリハット
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ヒヤリハットで疑似体験

下山時ルートミス

2018年1月18日印刷
発生日 2012年09月16日
体験者名 2017年Y031
登山地域 甲斐駒ケ岳
登山概要

■パーティ人数:1人
■山行スタイル:個人山行
■宿泊:日帰り
■登山内容:山頂往復
■天気:晴れ

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■登山計画時にそのリスクに対する検討を行ったか:した
■行動中にリスク回避や軽減が行えたか:した

ヒヤリハット本文

甲斐駒ケ岳黒戸尾根の日帰り山行の下山時、時間は14:30頃。刃渡りの鎖場を通過して間もなく、前方に下山する親子連れが見えたので、その後をしばらく歩いていたら親子連れが戸惑ったように立ち止まって道を譲ってくれた。前に進み出ると、登山道が途切れて左側が切れ落ちた岩場になっていてる。親子連れは、これを見て立ち止まってしまったようだ。後ろについた親子連れは、山慣れしたように見える私に先導を期待しているようにも感じた。私も戸惑いつつ岩場を見ていると、かろうじて辿れそうな足場が続いているようにも見えたが、後ろの親子連れが通過するにはどう見ても危なっかしく、子供も登れるような一般ルートに見えない。それに、よく考えたら登りでこんな場所を通った覚えもない。 そこでようやくルートを間違えたのだと思い至り、何処で間違えたのかと、登りのときの記憶を辿ってみた。すると、刃渡りの鎖場の手前で、左から合流してくる踏み跡を見た記憶が蘇ってきた。そのときは、こんな場所で合流する道があるのを不思議に思い、踏み跡の奥を少しだけ覗いて通り過ぎていた。 その場所に違いないと確信し、右手を見ると岩の斜面が目線より少し高いところで途切れて、その向こうに木立が続いている。そこで岩場の向こうを覗いたら、そこに正しい登山道があった。 道を間違えたのはほんの5メートルほど戻った場所で、親子連れが分岐を見落として踏み跡に誘い込まれてしまい、そのすぐ後ろを歩いていた私もそれに釣られて踏み跡に入ってしまのだった。 このとき、私は刃渡りの鎖場を過ぎて危険箇所は終わったと安心し、何気なく前を歩く親子連れについて歩いていたため、正規の登山道の分岐を見落としてしまったようだ。 あの時、急斜面の岩場を見て最初に考えたのは、どうやって通過しようか?ということだった。すぐ後ろに親子連れがいたので、岩場に足を踏み入れるのは危険だと冷静に判断できたが、この時、親子連れが後ろにいなかったら、無理をして急斜面の岩場に足を踏み入れ、結果、滑落に至っていたかもしれない。 あの時は、長時間行動による判断力の低下があったのだと思う。冷静になって考えれば、紛らわしい場所とはいえ、登りで気づいていた踏み跡に誘い込まれ、さらに明らかに登山道ではない急斜面に通過できそうなルートを探していたのは、道迷い遭難の典型的なパターンに思える。

要因分析
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
コース
黒戸尾根の日帰りは、体力的には難易度の高いルートであることは認識していたが、これまでの実績(剱岳早月尾根日帰り、富士山御殿場ルート日帰り)から、標準的なコースタイムの8割ぐらいの時間で歩くことができるので計画に無理はないと考えていた。また、登山中も分岐や危険箇所など、気になる場所は立ち止まって下山時の景色を記憶にとどめることを習慣付けていたので、まったく初めてのルートではあったが心配はしていなかった。
山の状況
装備
コース
山の状況
装備
コース
行動時間は、ほぼ予定通りに標準コースタイムの8割程度で歩くことができており、無理をしている意識は無かった。ただし、ルートミスをしたあたりでは、さすがに足が疲れてきたな、と言う自覚はあった。
山の状況
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
前日夕方に登山口の竹宇駒ケ岳神社の駐車場に入り、ワンボックスのゆったりした車内での車中泊だったので、睡眠も十分で体力的にも問題は無かった。
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
対策

剱岳早月尾根日帰りの際、下山開始早々に早月尾根分岐の鎖場を見落として直進し、ルートを見失った。この時は見覚えの無い風景を目にしてすぐにルートミスに気づき、振り返ったところに鎖場の取り付き点があった。 この時以来、特に岩場の特徴が無い場所でルートが鋭角に曲がる場合などには、通過後振り返って景色を記憶にとどめるようにしていた。

学びの場

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