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2018年1月23日

 

発生日2014年2月頃
体験者名2017年Y122
登山地域斜里岳・雌阿寒岳

 

 

登山概要

■パーティ人数:2人
■山行スタイル:個人山行
■宿泊:日帰り
■登山内容:山頂往復
■天気:晴れ

 

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■登山計画時にそのリスクに対する検討を行ったか:しなかった
■行動中にリスク回避や軽減が行えたか:しなかった

 

ヒヤリハット本文

夫婦二人で26日から3日連続で羅臼、斜里、雌阿寒岳に登る計画だった。26日羅臼岳は全行程で9時間25分かかり結構ハードだった。27日斜里岳は清岳荘から一の沢を詰めて登るのが一般的なコースだが、下二股から上二股分岐の間は滝の連続で、岩場や右・左岸の巻き道を使いながら沢を登って行く。白糸、水簾、羽衣、万丈、七重、見晴、竜神、霊華の滝と続くが、所々ロープも張られさほど難しくもなく、水しぶきの涼しさで快適に登っていた。9時ごろ見晴の滝を両手両足を使い3点支持で登り、立ち上がろうとした時、?X字の谷の向こうに見えるオホーツクの海に目を移そうと振り返った瞬間にスリップした。この時は岩の縁寸前にしがみつき滝つぼへの転落は免れた。まさに肝を冷やす瞬間だった。その後斜里岳山頂に達し7時間45分かけ無事に下山した。次の28日の雌阿寒岳で事故は起きた。雌阿寒温泉登山口より登り始め、2合目を越えそろそろ針葉樹林帯を抜けようとした辺りで、エゾマツの木の根に足を引っかけ激しく転倒、さらにその先に横たわる太い根で右太ももを強打、顔や手にも軽い擦り傷を負った。激しい痛みで登山を中止し、半分這うようにして下山した。そのまま帯広の病院で診察、幸い骨に異常はなく打撲・内出血のみだった。ホテルでアイシングして29日一日休んで過し、30日に多少痛みを抱えながら旭岳だけに登って関東に帰った。戻って改めて病院に行ったが、右足全体に内出血が黒ずんで周り、全治4週間の診断であった。

 

要因分析

 

装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)

 計画時出発直前行動中
装備
コース2015年夏は羅臼、斜里、雌阿寒、大雪山を6泊7日で計画、一番ハードな羅臼から始め、斜里、雌阿寒と徐々に楽な山にして、一日休養日を取って大雪山を目指す計画であった。 コースは全て一般登山コースであり、天候の問題さえなければ、60歳台半ばの夫婦にとって何ら問題のない計画と思っていた。 地元のハイキング情報をもらって登るコースを確認した。
山の状況週間天気予報を調べても特段問題はないと考えられた。現地においても天気予報をこまめにチェック

 

登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表

 計画時出発直前行動中
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動世は中高年の登山ブームで私もその一人である。事故も多い。特に転倒転落・滑落・道迷いの事故が大変多くなっている。このことはよく理解していたはず。 今回は計画にも気象条件にもそれほど大きな問題はない。問題は65歳としての年齢と体力と判断力の低下にある。 斜里岳のヒヤリは、滝上に達して立ち上がりながら頭を振った時点でバランスを崩したこと。下手すると10mほど滝下の岩場に転落死する可能性があった。 雌阿寒の事故は、登山も3日目になり、自覚は無いものの前日までの疲れが残っていて足が上がっていないことにある。躓いた後の手つき動作も遅れていた。 体力の衰えなどを常に自覚して慎重に足を運ぶべきところ、北海道の山の美しさとまだまだやれるという喜びの中で忘れ、油断をしたところにある。 この反省から、その後はできるだけスクワットや腹筋をして体を鍛えるようにしている。
リスク低減行動の継続的実践
その他夫婦二人とも若い頃から登山をしていて経験は豊富、子育て時代は登れなかったが、定年後2012年から百名山踏破を目指して再開した。

 

対策

年齢を自覚し、慎重に計画・行動すること。 毎日1万歩以上歩くこと、スクワットや腹筋などメニューを課して体力筋力の向上・維持に努めること。