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滑落事故

2018年1月23日

 

発生日2017年03月11日
体験者名2017年Y078
登山地域三瓶山

 

 

登山概要

■パーティ人数:5人以上
■山行スタイル:ツアー登山
■宿泊:日帰り
■登山内容:縦走
■天気:晴れ

 

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■登山計画時にそのリスクに対する検討を行ったか:しなかった
■行動中にリスク回避や軽減が行えたか:しなかった

 

ヒヤリハット本文

NHK米子の「さわやかトレッキング教室」に参加のときです。リーダーは鳥取県山岳協会の会長、サブリーダーはその副会長。会員は20名程度でこれまで無雪期のトレッキング程度を月一回の頻度で開催されていました。3月11日。快晴。現地に着くと残雪がありスパッツの装着を指示されました。登山開始。ズボッと雪に埋まる人が出始まました。腰まで埋まる人も出ました。その都度自力で上がり、女三瓶の山頂に到着。その後男三瓶を目指して下りにかかり、今度は尾根歩きになりました。一人の女性が消耗しきっていたので彼女の前に出ました。結果2番目になりました。尾根歩きはサブリーダーを先頭に4人がかろうじて登り切ったその時、サブリーダーは斜めに下りました。そして一言「もどって」。恐怖心の中で下りきり、列の後ろに4人はつきました。そこから尾根下の山の斜面をトラバースする形で進行していました。でも進行はしません。先頭では会員が苦戦、中央部ではリーダーが3メートルほど落ち木に背中を当てていました。じっと後列は待ち続けました。午後2時半になっていたでしょうか。後列の私はひやりともハットもしないまま雪の斜面を約200メートル滑落していました。幸い身体が動いたので、救助を待つしかないと思いつつもじわりじわりと黒土の出ているほうに移動を開始。そこにサブリーダーの声「だいじょうぶ?」反射的に「大丈夫です」。すると「上がってきて」と言われました。上がれるものなら上がりたい。でも斜度35度もある斜面をストックも流してしまっていたので、キックステップで上がるのは恐怖との戦いでした。尾根に4人が取り残されたがそれについても十分な意思の疎通がなく、すでに恐怖心から顔をこわばらせているメンバーがいた。アルプスの登山の経験のある私が前に出て彼女の歩幅に合わせてキックを刻み始めてからは彼女は落ちなくはなったが、彼女も私も疲れていたと思う。上がってきてと言われたようにまさしく私は自力で上がらなければならなかった。アンザイレンと判断したといったが、サブリーダーのザックにはロープはなかったし、持参していたピッケルも実は忘れて会員のストックを一本渡されただけだった。

 

要因分析

 

装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)

 計画時出発直前行動中
装備スパッツのある人は装着するようにといった。 沈み込む人に対しては指導がなかった。自力で毎回上がっていた。
コース鳥取県山岳協会の会長を務めるリーダーが「下見をしていなかった」とはっきりと私に言った。NHKの教室がこういういい加減なことで実施されるのかと怖くなった。誰一人、引き返すということを言えなかった。滑落がなければ「面白かった」となりそうな雰囲気だった。
山の状況

 

登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表

 計画時出発直前行動中
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動怖がっている人に対する指導がなかった。支援もなかった。
安全最重視の行動残雪期の登山をするような教室ではなかったはず。女三瓶で昼食を食べているときに、下山を提案で切るメンバーがいなかった。
リスク低減行動の継続的実践
その他

 

対策

所謂地域の山岳リーダーがNHKから依頼されて形成している「教室登山」はどういうふうに分類されるのか、このアンケートは答えにくかった。完全に自己責任と考えるようにしている。保険にも別口で加入した。