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常念岳で滑落

2018年1月17日

 

発生日1992年5月
体験者名2017年Y008
登山地域常念岳

 

 

登山概要

■パーティ人数:2人
■山行スタイル:個人山行
■宿泊:山小屋
■登山内容:縦走
■天気:晴れ

 

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■登山計画時にそのリスクに対する検討を行ったか:あまりしなかった
■行動中にリスク回避や軽減が行えたか:あまりしなかった

 

ヒヤリハット本文

ゴールデンウィークに蝶ヶ岳、常念岳を友人と二人で縦走しました。山に雪はなく天気も良かったのですが、北側の斜面の枯れ草の上に残っていた雪渓を横断する際、前を歩いていた友人が、足を滑らせて、そのまま滑り台を滑るように枯れ草と雪の斜面を滑落して姿がミエナクなっておりますしまった。目の前で斜面を滑り落ちて行く友人を見ながら、同じ斜面にいた自分も腰が砕けてしまい、こちらも危なく滑りそうになった。 友人の話では、滑り台を滑る格好であったこと、斜面の途中に樹木が一本立っていたので、渾身の力でその木に飛び付き、なんとか停止できたとのこと。もしも、この木がなかったら、飛び付いても止まらなかったなら、間違いなく更に数十メートル滑落、崖から落ちて命はなかったことだろう。 しばらくして、斜面の下から「大丈夫」との声が聞こえたため、その場で待機、斜面を慎重に登ってくる友人と合流した。幸い骨折はなく、滑った際の擦り傷で足が血だらけではあったものの、九死に一生を得た。 その後、上高地まで下る予定であったが、この件で時間をロスしたこともあり、少し残る雪の踏み跡を頼りに急いで下山していたところ、雪がなくなり岩場にでたが、何の意識もせず、しばらく谷道を下ったところで崖の上に出て道が完全になくなり、初めて道に迷ったことに気がついた。 体力、時間的に来た道を戻ることはできないと判断、少し戻って視界の歩いて開けたところで、双眼鏡を見ながら、地図で現在地を確認したところ、その位置から山を横断すれば尾根の登山道にぶつかることがわかった。道なき山の斜面を藪こぎしながら、何度か滑りそうになりながらも、登山道を発見、梓川沿いの大きい道までたどり着くことができた。既に薄暗くなっており、そこから上高地まで歩いが既に真っ暗になってしまった。この行程に無理はないと思ったが、春先の登山の怖さを身もって体験した。昔の話なので携帯電話、GPSなし、アマチュア無線用ハンディ機は持参。雪はなかったので、アイゼン、ピッケルもなし、登山用のポールのみの装備でした。

 

要因分析

 

装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)

 計画時出発直前行動中
装備
コース
山の状況ゴールデンウィークの北アルプス、事前に山小屋に電話して残雪の状況を確認、問題ないと判断していたが、北側の斜面の残雪まで想定することができなかった。天気予報により天気は良いことを確認した。

 

登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表

 計画時出発直前行動中
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動夏山の北アルプスは学生時代にサークル活動で何度か登ったことがあり体力的には問題ない。 友人はどちらかと言うと慎重な方ではないため、斜面での滑落は、慎重に横切っていれば防ぐことができたと考える。 残雪に残る踏み跡は、誰もが間違ってしまうので極て危険だと感じた。
リスク低減行動の継続的実践
その他

 

対策

雪渓の横断は慎重に。春先であっても、山によつてはアイゼンの用意を。 踏み跡を信じず地図で確認しながら行動する。