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沢の急激な増水

2017年7月13日

 

発生日1994年07月25日
体験者名2016年Y699
登山地域上信越 魚野川本谷

 

 

登山概要

■パーティ人数:1
■山行スタイル:個人山行
■宿泊:テント泊
■登山内容:沢登り
■天気:晴れのち雨、雷を伴う

 

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■気象種別:雨
■発生後の対応:続行

 

ヒヤリハット本文

夏としてはやや強い寒気が上空に入っていて、大気の状態が不安定だった。沢を詰めていたが、午後から降り出した雨がなかなか止まず、暗くなる前にツエルトを張ってビバークした。その後も雨は降り続いていたが、そのまま寝てしまった。が、ひたひたと水が浸入して来て目が覚め、外を見ると夕方見た時は幅1mくらいだった水流が一面に広がっており、まさに押し寄せてきたところだった。「やばい」と思ってとっさに手当たり次第にものをザックに入れ、それを背後にあった少し高くなっているネマガリダケの藪の中に突っ込もうと立ち上がった。その時には水位は膝くらいになっていた。その間わずか数分、時間は22時くらいだった。その後もなかなか雨は止まず、ようやく2時頃になって雨は上がり、月が出た。それまで濡れながらネマガリダケの藪で震えて過ごしていた。ネマガリダケの藪の隙間から、月光に照らされる水面が見えており、生きた心地がしなかった。朝になって水位は歩ける程度に下がったので、大急ぎで沢を詰め切って発哺温泉に下山した。

 

要因分析

 

装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)

 計画時出発直前行動中
装備
コース大気が不安定なときに沢登りを実行してしまった。沢登りを行うことについて、より慎重に検討すべきだった。ビバークサイトの選定をより慎重に行うべきだった。
山の状況上空に寒気が入っている時の雨は、いわゆる「夕立」に留まらず、一晩中降るような場合もあることを認識しておくべきだった。大気の状態をよく見ておくべきだった。雨の継続についての認識が甘かった。

 

登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表

 計画時出発直前行動中
楽観的・希望的な解釈夏の不安定降水についての認識が甘かった。上空の寒気を甘く見ていた。増水に対する認識が甘かった。
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他

 

対策

上空に寒気が入って大気が不安定な時期には沢登りを行わない。ビバークサイトの選定をより慎重に行い、特に増水に対して安全な場所を探す。