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エスケイプルートの選択ミスによるビバーク

2017年2月24日

 

発生日2014年8月下旬
体験者名2016年Y504
登山地域西穂~奥穂の稜線

 

 

登山概要

■パーティ人数:1
■山行スタイル:個人山行
■宿泊:山小屋泊
■登山内容:縦走
■天気:雨のち曇り

 

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■場所 :登山道
■原因(環境): 
■原因(人):誤認識
■道に迷ったかもと感じたときにすぐに対応したか:No
■迷ったときに現在位置を把握できたか:No
■現在位置や正しいルートを確認する手段:勘
■道迷い後の行動:コースを修正して目的地(ルート)へ

 

ヒヤリハット本文

天気予報を根拠に雨の西穂山荘を北上するも、間ノ岳の先で断念。天狗沢にエスケイプしたつもりだったが、結果的にそれは間ノ沢だった。ほどなくして間違いに気づくも、沢全体が急峻な浮石のカタマリで、登り返しは不可能。止む無く下って森の中を必死に彷徨うも、夕暮れとなりタイムアウト。幸い雨は上がったものの、蚊や蛾などの虫が煩く、仮眠できるような状況ではない。なるべく体力を使わないように太極拳のリズムでゆっくりとブッシュのなかを泳ぐことで、虫の大群と体の冷えを回避。岳沢小屋と思しき方向に歩を進めつつ明け方4時頃、薄暗い中で天狗沢ルートの白ペンキを見つけた時には、涙が出そうになった。

 

要因分析

 

装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)

 計画時出発直前行動中
装備食糧は飴だけだったが、2~3日食べなくても死ぬことはないので、不安は全くなかった。軽量化のためツェルトを持参しなかったのは大きな減点。一方で、ヘッドランプは多少オーバースペック(200ルーメン、単三4本)だったが、これが思いのほか心強かった。
コース屈指の難コースとはいえ、数年前に経験済みだったが故の油断は否定できない。携帯の電波にとっては上高地から指呼の距離であるという事実が支えになっていた。イザという時に助けを呼べるという状況は精神を安定させる。
山の状況同じルートでも、雨とそうでない時とでは全く違うことをあらためて思い知らされた。

 

登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表

 計画時出発直前行動中
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他雨のため、慎重を期して小屋で一泊停滞した。翌日も雨は残っていたが、天気予報を信じて見切り発車してしまった。雨が上がっても岩はすぐには乾かないことにまで思いが至らなかった。認めたくはないが、加齢による体力の低下があったのかもしれない。

 

対策

最大の教訓。それは、「オレももう若くはない」。